これからの歯科治療で大切なこと
こちらは2022年の歯科商業誌の特集記事の見出しです。歯科治療でのボトックス(ボツリヌス菌毒素によって作り出されたたんぱく質成分を抽出した安全性の高い医薬品)の活用についてようやく日本でも記事になりだしたのかと感じたことを覚えています。
ボトックスは一般的に美容領域での認知度が高いかと思いますが、実は医科領域でも、疾患による痙縮の治療、顔面神経麻痺のリハビリテーションなど筋肉の緊張を解きほぐす作用を利用して広く用いられています。歯科治療では、ボトックスは顎関節症の治療の際に、噛み締める筋肉の力をを緩めるために用いられます。
顎関節症治療におけるボトックス注射は欧米で広く用いられていますが、日本ではまだまだ浸透していません。しかし、名取歯科医院では噛みしめのコントロールや治療の一環として用いられるべきなのはマウスピースではなくてボトックス治療であると考えています。噛みしめる力を弱くするための治療は、噛む筋肉を弱くさせる必要があります。その時、ボトックス治療がとても有効な治療の選択肢となります。
勿論、マウスピースがすべてにおいて効果がないというわけではなりません。ただマウスピースでは患者さんの問題を解決できないだけでなく、場合によっては状況を悪化させてしまうこともあるのです。
お口の中だけの治療では、患者さんのお悩みを完全に解決することは出来ません。歯科医師は、ただ歯「だけ」を見て、ただ単に歯に対して新しい治療」をすれば良いわけではありません。これからの歯科治療で大切なことは、良いと言われているからなどという漠然とした理由ではなく、科学的な根拠に基づいた診断と適切な治療法であると名取歯科医院では考えています。